WF-1000XM4を「最大限」に活かしきることは難しい
先月末に盛大に期待されつつ発売されたWF-1000XM4、そのスペックを「最大限」に活かしきるのは正直難しい。
ノイキャン、外音取り込み、DSEE extremeなど優秀な機能は多数あるのだがWF-1000XM4を活かしきるには、やはりBluetoothコーデックのLDACが重要になる。これはWF-1000XM4以外のLDAC対応再生機器の多くにも言えることだろう。
PC(Win,mac)、iPhoneでは基本的にLDACに対応していないので、LDACを送信可能なDACを接続することで、少し強引にLDACに対応させることになる(iPhoneでも可能かは不明)。そしてLDACを送信可能なDACは種類が少ない上、価格も1万円以上する。オーディオ界隈的には全然安い買い物なのだが、安定性を考えるとリスキーな手段かと思う。実際にやってみたという話もなくはないが、後述のAndroidで再生するのがSonyの想定した使い方なのだろう。
音質が24bit/96kHzでも、端末の性能によって結果的にWF-1000XM4に送られるのは24bit/48kHzになる |
ではAndroidはどうかと言うと、殆どのスマホがLDACに対応している。手持ちのRedmiNote9Sも4年前に購入したGalaxyFeelも対応している。だが実はフルスペックのLDACではない。そもそもLDACは24bit/96kHz出力に対応しているが、手持ちのスマホはどちらも24bit/48kHzが限界だった(上記のAmazon Music HDの表示より判断)。Bluetoothのバージョンなのか、SoCなのか、Amazon Music HDなのか、どこがネックかはよくわかっていない。ちなみにPixel4a、Xperia1IIでは24bit/96kHzでの再生が可能な様子。
ここまでまとめると、私はLDACを活かしきれていない。PCではSBCでの接続だろうし、スマホもLDACとはいえフルスペックではない。では満足していないかと言われればNoだ。DSEEはLDACの24bit/96kHzではオンにならず、Androidの開発者オプションから24bit/48kHzにするとオンになりDSEEとLDACの併用が可能になる。この設定での音質にはとても満足している。DSEEによって、擬似的ではあるが圧縮音源でも音源の解像感や音場の広さが増して、ハイレゾの音質に少し近付く。
だがaptX系のコーデックにも対応していればよりいい選択肢があったはずだ。そもそもWindowsがaptXに対応している上、BluetoothのトランスミッターもaptX系なら安価なものも多い。遅延の少ないaptXLLならゲームもより快適だったかと思う。
WF-1000XM4は様々な面からいい音楽体験を提供している。SBCだろうがAACだろうがDSEEによってアップスケーリングされる。イコライザーで自分好みの音にしてもいい。もちろんノイズキャンセリングのおかげで音だけに集中することもできる。だがWF-1000XM4で最大限のいい音を聴くためにはLDACが必要なのだ。LDACのインフラが早めに整うことを期待したい。もしくは…あまり期待はできないが、1000XseriesにaptXを戻してもらえるとありがたい。方向性は違えど、どちらもWF-1000XM4にほしい部分であることは確かだ。
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